派遣20期 公文国際学園高等部 伊藤優那さん・大澤初音さん
― 模擬国連を始めたきっかけ、そして全日本模擬国連大会(以下全日)に参加したきっかけを教えてください。
伊藤: 中学1、2年生の時に少しグレていて(笑)。正直、自分を変えないとまずい、と思い、何か熱中できる課外活動を始めようと決心したんです。そこで模擬国連に出会ったのですが、模擬国連に出るにはペアが必要だったので、当時すごく優秀そうだった人を誘いました。その時に私が誘った相手が、今のペアである大澤です。最初は初心者議場からのスタートで何もかもわからない状態でしたが、そこから見事にハマっていきましたね。
大澤: 私はもともと、模擬国連に力を入れている学校を選んで進学しました。ですが、いざ始めてみると最初は周りについていけず、置いてけぼりになってしまって。全然面白くなくて一度は離れかけていたんです。そんな中、中学3年生の時に伊藤にゴリ押しされて渋々会議に出てみたら、そこから一気にハマってしまいました。学外のレベルの高い大使への憧れもあり、模擬国連をやる人が誰しも一度は目指す「全日本高校模擬国連大会」、そしてその先にある「高校模擬国連国際大会への日本代表団としての派遣事業への参加」を最終的なゴールに見据えて挑戦を決めました。
― 大会に向けた準備について教えてください。
伊藤:私はとにかく相手の立場に立つ準備をしました。他国の政策を読み込んで、「どこの政策が良かったのか」などをまとめたメモを会議中にあえて手書きで相手に渡す工夫をしていましたね。
大澤: 私はナイジェリアの大使として参加したのですが、YouTubeなどで現地のリアルな国民性まで調べて「ナイジェリアの国民になったつもり」で議場に立てるよう解像度を上げました。準備の際はウェブサイトだけでなく、本を読むことを意識していました。ネットだと調べたいことしか出てこないけれど、本はそれに付随する多様な考え方を教えてくれるからです。
ー 華々しい実績の裏で、苦悩や逆境はありましたか。
伊藤:中学3年の時からずっと模擬国連をやっていたのに、最初は全然伸びなくて、結果も出なくて本当に苦しかったです。周りはどんどん結果を出していくのに、自分たちだけが当然のように結果が出ない。でもそんな中、今回の派遣事業でも一緒に挑戦することになる同学年の他校の友達に出会い、強く憧れました。大会によって賞の基準は違うものの、彼女のようにいつも礼儀正しくて周囲に好印象を与える大使の姿を見て、「自分ももっと努力しよう」と思えたんです。その努力が少しずつ実を結び始めてからは、全日もその後も前を向いて頑張れるようになりました。
大澤:私は、全日本大会で派遣事業への切符を掴んでから、「日本代表」として参加することへのプレッシャーがものすごくありました。周りを見渡すと、これまでの大会で何度も賞を取っているような、高校模擬国連コミュニティである程度知名度の高い人たちばかりだったんです。「実績のない自分がここに行っていいのか」と、ずっと悩んでいました。
その上、私は英語があまり得意ではないので、日本語で行われた全日では上手くいっても、ニューヨークの英語の議場ではそうはいかないだろうという不安しかなかったです。そんな中で「今の自分に一体何ができるだろう」と考え抜いた結果、とにかくリサーチを徹底することに決めました。最終的には、「この議場で誰よりも自分が議題を理解している」と胸を張って思えるところまで調べ尽くし、それが大きな自信へと繋がりました。
― 実際にNY派遣を経験して、どのような学びがありましたか。
伊藤:最終日に賞を取った人と自分を比べて、最初は悔しがっていたんです。でも、そうやって悔しがれること自体が、自分にまだ伸びしろがある証拠だと思えるようになってきた。今ではもっと自分が成長していく過程自体が楽しいです。 これまでは学校の先生になりたかったのですが、NYを経て、自分の問題意識を活かせる「国連職員」という夢も見つかりました。ただ意見を発信するだけでなく、相手の話を「聞く」大切さを学べたのも大きな収穫です。
大澤: 私は、選ばれた当初は自信がなかったけれど、あの極限の環境の中で、自分にできることを見つけて後悔なくやり抜けた経験が大きな自信になりました。 将来は、国連職員のような立場ではなく、より現場に近い場所で力になりたいと考えています。NY派遣のリサーチを通して、ただ食料を送るだけの支援ではダメだと痛感しました。長期的な視点での農業系支援を通じて、発展途上国の食料安全保障に関わりたいと思うようになりました。
― 最後に、これから模擬国連や全日への参加を目指す高校生にメッセージをお願いします!
伊藤:模擬国連は、準備も大変だし会議中に話を遮られることもある。正直「めんどくさい」と思う瞬間もあります。でも、一回の会議や交渉で絶対に諦めないでほしいです。諦めていく人から負けていきます。正解がない議論だからこそ、ロールモデルを見つけて、自分流の楽しさを見つけてほしいです。
大澤: 正直に言うと、本気の「覚悟」がないときつい活動だと思います。当日だけでなく事前の準備に膨大な時間が取られるので、色々なこととの両立に悩むかもしれません。でも、最後まで諦めずに駆け抜けた先には、想像以上の成長と最高の仲間が待っています。将来的に派遣事業を目指したい人がいれば、私たちは全力でサポートするので、ぜひたくさん頼ってください!

派遣20期 小林聖心女子学院高等学校 北場千晶さん
― 模擬国連を始めたきっかけ、そして全日に参加したきっかけを教えてください。
元々模擬国連は、中学校の時に仲がいい友達がやっていたからはじめました。会議に出た後、自分の会議行動を振り返って、次の会議に向けて改善する流れが楽しくて続けていました。そんななか、全日本大会に参加した大きなきっかけは、一緒に模擬国連のペアを組んでいた先輩が、昨年度ニューヨークに派遣されたことでした。その先輩の姿を見て、自分も同じ景色を見たいと思い、参加の決意をしました。
― 大会に向けた準備について教えてください。
とにかく議題である「デジタル公共圏のガバナンス」を徹底的に理解しようとしました。BG(議題解説書)を毎日読み込み、そこから自分の担当国がどのような立場になるかを考えました。そして、どんどん出てくる疑問をペアと一緒に共有して、ホワイトボードに書き出し、解決しようと、日々地道に努力を積み重ねました。
― 実際にNY派遣を経験して、どのような学びがありましたか。
まず、準備期間では、4ヶ月間ずっと同じ議題と向き合う必要がありました。そのプロセスで初めてペアと認識の食い違いがあり、それの解決に苦戦しました。この経験からは、相手の思考をしっかり理解することの難しさを痛感し、話し合いを重ねて解決することの大切さを学びました。
会議自体では、とにかく本当の意味での「コミュニケーション」を身につけました。それは、案外英語力だけの問題ではなく、相手に伝えようと思う努力だと感じました。言語の壁を恐れずに、とにかくコミュニケーションをする姿勢と努力を忘れないことも、大きな学びでした。
― この経験を将来どのように活かしたいですか。
将来は、この経験で得た交渉技術・入念に準備する姿勢を活かせるような職業につきたいと思っています。元々は地元の関西圏で活動したいと思っていましたが、最近は東京にでてたくさんのことに挑戦したいと思うようにもなりました。特に、国連大学に表敬訪問に行った際、United Nations Volunteers (UNV)で自分の姉妹校出身の方がいたのに刺激されて、今はボランティアに少し興味を持ってます。
― 最後に、これから模擬国連や全日への参加を目指す高校生にメッセージをお願いします!
全日本大会を目指す時、大変なことはたくさんあると思いますが、そんな時はペアを大事にしてほしいと思います。私自身、中学3年生からずっと一緒にペアと会議に出てきて、しんどい時や辛い時はペアに支えられてきました。ペアは自分を補ってくれる、本当にかけがえのない存在です。どんなミスをしても、「私のペアならカバーしてくれる!」という自信があれば楽しく模擬国連に取り組めますし、全日本大会という一度きりの舞台においても、ペアの存在は想像以上に大きな力になります。ぜひ、お互いを信頼し合える最高のペアとともに、全日本大会を目指して頑張ってください。

派遣20期 灘高等学校 戸田悠一朗さん
― 模擬国連を始めたきっかけ、そして全日に参加したきっかけを教えてください。
模擬国連を始めたきっかけは、高校1年生の時にテレビで模擬国連が紹介されているのを見たことでした。国ごとに立場が異なり、その数だけ議論の可能性があるというコンセプトに強く惹かれました。ディベートのように単純な賛成・反対ではなく、「国家」という視点で考える奥深さが面白いと感じました。
ただ、1年生の時点では、2年生になっても続けようとは正直あまり思っていませんでした。そんな中で、ペアの小森君が「全日に出てニューヨークへ行こう」と半年間ずっと声をかけ続けてくれました。そこまで自分を頼ってくれて、その恩に応えたいと思ったことが参加の決め手でした。
― 大会に向けた準備について教えてください。
予選会に向けて
予選会に関しては、模擬国連全体の力を上げるための努力をしました。最初の頃は、模擬国連をやっていても結果が出ず、自分自身も心から楽しめていませんでした。だからこそ、自分が本当に面白い模擬国連をしよう、と考えるようになりました。私たちは、感情論ではなく、無理を通さない論理的な議論を組み立てるディベートらしい模擬国連を目指しました。政策として本当に実行可能なのか、現実の大使ならその提案を出すのか、という政策のリアリティを重視して、会議準備を進めていました。
本大会に向けて
BG(議題解説書)が公開される前には、元外交官が執筆した書籍である『国連入門』やUNDPの歴史に関する本を読み、そもそも国連がどのような理念で存在しているのかを学びました。BG公開後は、まず内容を徹底的に要約し、必要な情報や、運営側が重要視していそうな論点を同じ高校の先輩の力を借りて、議題構造をまとめました。その上で、自由権規約やマスメディア宣言、ユネスコによるデジタルプライバシー関連文書など、人権に関する国際文書を読み込みました。単なる理想論に終わらせたくなかったため、欧州人権裁判所などの判例も調べ、議題の本質的な構造が見えてきたかと思います。直前期は「考えていることは論理的でも、それを相手に分かりやすく伝えられていない」という課題を感じていました。そこで、灘高校のOBで文部科学省に勤務されている方にお話を伺い、「人に伝わる話し方」を学びました。BGの要約作業と、この「話し方」の学びは、特に大きな助けになったと感じています。
ニューヨーク派遣に向けて
ニューヨークについては、会議準備も観光準備も、かなりペアの小森君に任せてしまっていました(笑)。自分は、その日に必要なスピーチや重要単語を軽く整理しておく程度でした。
― 実際にNY派遣を経験して、どのような学びがありましたか。
まず、「英語は意外と完璧でなくても通じる」ということを実感しました。また、他の派遣参加者たちが模擬国連にかける熱量の大きさにも驚かされました。そこまで本気で何かに打ち込む姿勢は、本当に素敵だと思いました。海外の参加者とも交流する中で、「外国人」と一括りにはできないことも実感しました。日本人と気が合う人も多く、特にスペインの参加者とは自然に仲良くなれた印象があります。こうした人とのつながりを広げていくことに大きな意味があると感じました。
― この経験を将来どのように活かしたいですか。
将来は、何らかの形で民族や国家に恩返しをしたいと思っています。模擬国連を通して、人を動かす力や組織を運営する力を学ぶことができました。そうした経験は、将来どのような道に進んでも役立つと思っています。また、後世の歴史書に悪く書かれる人にはなりたくないという思いがあります。できるなら、良い人物だったと書かれるような生き方をしたいです。
― 最後に、これから模擬国連や全日への参加を目指す高校生にメッセージをお願いします!
模擬国連では、徹底的に他の大使が当たり前だと思っている前提を疑ってみてください。周囲がやっているから自分も同じように動くのではなく、自分が理想とする大使像を軸に、一貫性のある行動を取ることが大切だと思います。
模擬国連には、どうしてもパターン化された動きがあります。しかし、みんなが同じことをしていては、このゲームの本来の深みが失われてしまいます。強いチームが新しいスタイルを示せば、「そんなやり方もあるのか」と広がっていく。その多様性こそが模擬国連の魅力だと思います。

過去の派遣生の声
日本の模擬国連のレベルは高く、それが世界に通用しないはずはないと考えました。
国際大会最優秀賞受賞者
そこでふと思い出したのは、自分はカーボベルデ共和国の大使として約50万の国民の命を背負っている、という当たり前の事実だったのです。
国際大会優秀賞受賞者
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